八剣山周辺の雄大な自然の中にはたくさんの野鳥が棲んでおり、野山の散策やこの地区で

実施している活動をとおして鳴き声を聞いたり、枝に留まっている姿を見かけることがあります。

ここでは、これらの野鳥について紹介します。

アオジ (ホオジロ科) アカゲラ (キツツキ科)
4月下旬に本州から渡ってくる夏鳥で、平地の林でも普通に見ることができます。ホオジロの仲間はみんな良い声をしていますが、アオジも枝に止まって、良い声でさえずります。
木の幹や枝をコツコツと虫を探してつつく音で、居所はすぐに発見できます。一年中同じ地域に 住んでいる留鳥で、冬は木の葉が無いので、より見つけやすくなります。
   
ウソ (アトリ科) エナガ (エナガ科)
昔は口笛のことをウソと言ったことから、口笛のような鳴き声をするこの鳥の名前がウソと付けられました。夏は山の高い所で繁殖をし、冬は人里近くに来て木の芽を食べたりします。
尾羽が長いのを、ひしゃくの柄にみたたて柄長の名が付きました。本州のエナガと顔の模様が違うので北海道のエナガはシマエナガ(蝦夷が島のエナガの意味)と呼んでいます。
   
オオルリ (ヒタキ科) カケス (カラス科)
鳴き声の美しい3種類の鳥「日本三鳴鳥」の一種類とされているオオルリは、姿も声も美しい日本の代表的な夏鳥です。山や大きな林に行くと、高い梢でさえずっている声を聞くことができます。
色の美しいカケスもカラスの仲間なので、鳴き声はギャーというだみ声です。しかし、他の鳥のさえずりをまねたり、猫の鳴き声をまねたりすることもあります。秋に山の木の実が少ない年は、人里で頻繁に姿を見かけることがあります。
   
カワセミ (カワセミ科) キバシリ
飛ぶ宝石とも言われるカワセミは、川や池で小魚をダイビングして獲ります。北海道のカワセミは冬を本州で過ごし、春(4月末頃)に再び姿を現します。八剣山果樹園の池にも来ることがあるので、姿を見かけたら、そっと見守ってください。
一年中姿を見ることができるキバシリは、木の幹を下から上にらせん状に登りながら餌の虫を探しています。背中は木の皮とそっくりなので、保護色になっています。
   
キビタキ (ヒタキ科) クマゲラ (キツツキ科)
冬は東南アジアで過ごし、春(4月末頃)に北海道に渡ってくる夏鳥で、新緑の中で見る黒と黄色は、とてもきれいです。声も良く、林や山でチーチョホイ、チーチョホイなどと鳴いています。
カラスほどの大きさの黒いキツツキで、本州の一部(青森県,秋田県)で繁殖が確認されていますが、主に北海道の森林に生息していて、数も少なく天然記念物に指定されています。
   
コゲラ (キツツキ科) ゴジュウカラ (ゴジュウカラ科)
スズメほどの大きさのキツツキで、数も多く、人里近くの林でも良く見かけます。冬は、シジュウカラなどのカラの仲間と一緒に、餌になる虫を探しながら林の中を移動することがあります。
人里近くの林でも一年中生息している留鳥で、まだ雪が残っている早春から、天気が良い日には、フィーフィーと通る声でさえずります。木の幹に止まり、頭を下にして上から下へ降りてくるのは世界中の野鳥の中でもゴジュウカラの仲間だけです。
   
シジュウカラ (シジュウカラ科) ハシブトガラ (シジュウカラ科)
人里近くの林でも一年中生息している留鳥で、庭に飛んできたりするので、野鳥の中では姿を見 かけることが比較的多い種です。頬が白く見えることからホオジロと間違える人もいるようです。
平地の林でもよく見かけるカラの仲間で、日本では北海道にだけ一年中住んでいて、人への警戒心が少ない小鳥です。これによく似た鳥でコガラがいますが、野外で判別することは非常に困難です。
   
ヒヨドリ (ヒヨドリ科) フクロウ (フクロウ科)
ピーヨ,ピーヨと鳴くところからピーヨ鳥と呼ばれ、それがヒヨドリになりました。人里近くでもよく見かけ、うるさく鳴くためかあまり好かれない鳥ですが,世界的に見ると日本と周辺の一部だけに生息している種です。
フクロウは夕方から夜にかけてネズミなどを獲りますが、日中は木の枝などに止まっています。それに気づいた小鳥たちが、フクロウを嫌って周囲を騒がしく飛び交ったりすることがあります。
   
ホオジロ (ホオジロ科) ミサゴ (タカ科)
鳥のさえずりを,人間の言葉に置き換えて表すことを「聞きなし」といいますが、ホオジロは「一筆啓上つかまつり候」とか「源平ツツジ白ツツジ」などと聞きなしをされています。自分なりの聞 きなしを考えるのも楽しいことでしょう。八剣山の周辺ではイチゴ狩りやサクランボ狩りをしている時にホオジロの声が聞こえてきます。
魚を獲って食べるので,主に崖のある海岸線で繁殖をしていて、空中で停空飛翔をして水面近くの魚を狙います。内陸の湖などでも魚を獲ることがあり、八剣山果樹園の池の魚を狙って現れたり します。
   
ヤマガラ (シジュウカラ科) ヤマゲラ (キツツキ科)
警戒心が少ない鳥で,その愛くるしさから,昔はかごの鳥として飼われていることもありましたが、鳥は自然の中で見る方が,より一層輝いて見えます。カラの仲間のさえずりは,どれも良く似て聞こえますが,ヤマガラはツツビー,ツツビーと少しのんびり鳴きます。
緑色のキツツキなので他の種と間違うことはありません。このヤマゲラは日本では北海道にだけ 生息していて,ユーラシア大陸を経てヨーロッパでも生息しています。このように本州と北海道に は動物学上の分岐になる線が引かれていて、これをブラキストンラインといいます。

《用語説明》

夏 鳥

春(4〜5月)に本州や東南アジアから渡ってきて,夏に子育てをし,秋(9〜10月)に越冬のために本州や東南アジアへ渡って行く鳥。

【代表種】カッコウ,ウグイス,ツバメ,オオルリ,キビタキ

冬 鳥

秋(10〜11月)にシベリア方面から渡ってきて越冬し,春(3〜5月)に繁殖地のシベリア方面に渡って行く鳥。

【代表種】オオハクチョウ,ツグミ,ユリカモメなどのカモメ類多数,オナガガモ(東京

      上野で矢ガモとして話題になった種)などのカモ類多数

留 鳥

一年中同じ地域で生活をして,渡りをしない鳥。

【代表種】スズメ,アカゲラなどのキツツキの仲間,シジュウカラなどカラの仲間

亜 種

同じ種類でも地域によって色や模様が異なるような場合の種。

【例】エナガ(本州のエナガは顔に黒い模様がある)とシマエナガ(北海道のエナガは顔が白い)

ブラキストンライン

 昔,北海道はユーラシア大陸とつながっていたため,現在の北海道の動物も大陸と同じ種類のもの(ヒグマ,ナキウサギ,鳥ではヤマゲラ,エゾライチョウなど)がいますが,それらは,本州には生息していません。

  このように,北海道と本州の動物相が一部異なることから,津軽海峡に動物学上の分岐線が引かれ,これをブラキストンラインといいます。

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